新型コロナウイルスは、2019年12月に中国の武漢市で初めて確認され、2020年1月にWHO(世界保健機関)が「世界的大流行(パンデミック)」を宣言、日本でも同年2月にダイヤモンド・プリンセス号で確認されて以降、感染が拡大しました。
その後も現在に至るまで、コロナウイルスは変異を続け、未だに収束する気配はありません。
その中で、日本の一部の保険会社はコロナウイルス専用保険の発売を開始してきました。
今回の記事では、コロナ保険の解説と現状、コロナ保険に加入すべきかどうか個人的な意見を述べていくこととします。
代表的なコロナ保険
キャッシュレス決済サービス「PayPay」で販売中の、『コロナお見舞い金』を中心に、『コロナminiサポほけん』、『コロナ助け合い保険』の3つの保険について解説します。
コロナお見舞い金(PayPayほけん)
「損保ジャパン株式会社」は、2021年12月16日にキャッシュレス決済サービス「PayPay」を通じて『コロナお見舞い金』というコロナ専用保険を発売開始しました。
発売当初の保障内容と保険料
■補償内容
医師により新型コロナウイルスと診断された場合に一時金5万円が支払われる
■保険期間
3ヶ月、6ヵ月、12ヵ月から選択
■保険料
3ヵ月:500円
6ヵ月:1,000円
12ヵ月:2,000円
保険料と保障内容の変遷
それまでほとんど売れなかった『コロナお見舞い金』ですが、2022年1月に入り感染が急拡大し、1月14日に加入件数1万件を突破、2月1日には20万件を突破し売れ行きは好調でした。
ところが、損保ジャパンには大きな誤算がありました。
コロナウイルスの予想以上の感染拡大です。
仮に、『コロナお見舞い金』の加入者20万人の平均保険料が1,000円とすると加入者から領収した保険料は
「20万人×1,000円=2億円」
2022年1月~2022年2月のコロナ感染者は、10万人に約2,500人と言われています。
10万人に約2,500人が感染者だとすると加入者20万人のうち約5,000人がコロナウイルスに感染し、保険金5万円を受け取れることになります。
そうすると、保険会社の支払う保険金は
「5万円×5,000人=2億5千万円」
保険会社の保険料収入と支払い保険金の差は
「2億円-2億5千万円=-5千万円」
この時点で5千万円の赤字ということになります。
予想以上の感染急拡大を受け、損保ジャパンは2022年2月10日に、売れば売るほど赤字になる状態を打開するべき保険料の値上げを実施しました。
※前日2月9日時点での加入件数は35万件を突破していました。
■値上げ後の保険料
3ヵ月:1,500円
6ヵ月:3,000円
12ヵ月:6,000円
『コロナお見舞い金』の発売開始から僅か2ヵ月で3倍の値上げ実施です。
更に2022年6月14日「当初想定したよりも感染者と加入者が増えており、収束も見通せないため」とし、保障内容の変更ました。
■改定後の保障内容
医師により新型コロナウイルスと診断された場合に一時金2万円が支払われる
保険金額を5万円から2万円に下げることによる実質的な値上げとしました。
【更新】2022年8月4日
損保ジャパンは感染状況を踏まえ、『コロナお見舞い金』の販売停止を行いました。
現在の保障内容と保険料
■保障内容
医師により新型コロナウイルスと診断された場合に一時金2万円が支払われる
■保険料
3ヵ月:1,500円
6ヵ月:3,000円
12ヵ月:6,000円
販売停止となった為、現在は加入不可となっています。
コロナminiサポほけん(第一スマート少額短期保険)
第一生命保険の傘下である「第一スマート少額短期保険株式会社」は、2021年4月9日に『コロナminiサポほけん』というコロナ専用保険を発売開始しました。
■保障内容
新型コロナウイルスを含む感染症法に基づく1類~3類に含まれる感染症に罹患した場合一時金10万円が支払われる。
感染症の最新の情報は厚生労働省のホームページをご確認ください。
■保険期間
3ヶ月
■保険料
新型コロナウイルスの感染者数の状況に応じて、毎月1日にその月の保険料が決まります。
2022年7月1日時点での保険料は、3,330円でした。
過去の保険料推移はこちら
コロナminiサポほけんの現在
第一スマート少額短期保険は、2022年7月11日に『コロナminiサポほけん』の販売停止を行いました。
ただし、既に加入している契約者においては、引き続き契約は継続しており保障内容の変更はないとのことです。
コロナ助け合い保険(株式会社justInCase)
スタートアップ企業である「株式会社justInCase」は、2020年5月1日に『コロナ助け合い保険』というコロナ専用保険を発売開始しました。
■保障内容
新型コロナウイルスの罹患に関わらず、医療施設に1泊2日以上の入院をした場合一時金10万円が支払われる。
※新型コロナウイルスの場合は、自宅療養やホテル療養も医療施設とみなします。
■保険料
月々の保険料は年齢や性別ごとに異なりますが、例えば30代前半の男性の場合には月額510円となります。
■保険期間
1年、その後1年毎に自動更新となっています。
コロナ助け合い保険の現在
justInCaseは、2022年4月1日に『コロナ助け合い保険』の販売停止を行いました。
更に、既存契約についても保障内容の変更を行いました。
【2022年4月6日までに入院を開始した場合】
給付金の全額を保険金としてお支払い
【2022年4月7日以降に入院を開始した場合】
給付金の10分の1を保険金としてお支払い、10分の9をjustInCaseのグループ会社から、「お見舞い金」という形で支払うと発表した。
ただし、医療機関に入院しない自宅やホテル等での「みなし入院」は、お見舞金は支払われないので、実質的に保障金額の大幅な減額です。
販売停止と保障内容の変更は、オミクロン株の爆発的な感染拡大により、保険金のお支払いが2020年5月発売当初の商品想定を遥かに上回ったことが背景としています。
コロナ専用保険には加入すべきか
2022年8月4日に「PayPay」で販売していた『コロナminiサポほけん』が販売停止となりましたのでこれで筆者が知る限りのコロナ保険は全て販売停止となりました。
しかし、販売再開や新たなコロナ保険を販売開始する保険会社が出てくる可能性、また筆者の認知してないコロナ保険もあるかもしれません。
そのような、コロナ保険に加入する際の検討材料としてください。
結論から言うと「コロナ専用保険に加入すべきかどうかは人による」です(笑)
現在ほとんど全ての保険会社で、自宅療養やホテル療養でも医療施設への入院とみなし医療保険で入院給付金等が支払われるので、医療保険に加入されている方はコロナ専用保険に加入する必要はないと思います。
ただし、医療保険に加入されている方でも一昔前の医療保険は免責期間があったりするので、そういった保険に加入されている方や、仕事的に多くの方と接触する方は上乗せとしてコロナ専用保険への加入を検討するのはありだと思います。
まとめると、
- 仕事上、多くの人と接触する
- 医療保険に加入していない
- 昔の医療保険に加入している
- コロナに罹った際に心の支えとして一時金が欲しい
こういった方は加入を検討しても良いのかなと思います。
おわりに
今回の記事では、日本の主な3社のコロナ専用保険、コロナ専用保険に加入すべきか個人的な意見を述べてきましたが、どの保険会社も、販売当初の保障内容を維持することができずに、保険料を値上げしたり、保険金額を下げるなど保障内容を変更したり、最終的には販売停止の措置を取っています。
それだけ保険会社も、皆さんも、誰もが予想できない程に長くコロナウイルスの感染拡大が続いています。
コロナウイルスの少しでも早い終息を願っています。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました!