自賠責保険(強制保険)と自動車保険(任意保険)の違いとは？

自動車事故を起こしてしまった際に補償してくれる自賠責保険と自動車保険。
強制保険と任意保険って違いは知っているけど、実際にどう違うのか知らない方も多いですよね。

今回の記事では、意外と知らない自賠責保険(強制保険)と自動車保険(任意保険)の補償内容の違いについて解説していきます。

自賠責保険(強制保険)とは？

自賠責保険の概要

「自賠責保険」とは「自動車損害賠償責任保険」の略称であり、自動車の運転によって人の生命または身体が害された場合の損害賠償を補償する制度で、被害者の保護、あわせて自動車運送の健全な発達の手助けとなることを目的としています。

つまり、自動車事故を起こした際の相手のケガや死亡について補償する保険です。
逆に言うと、相手の車などモノの損害、自分の車の損害、運転者や同乗者のケガや死亡、については補償されません。

自賠責保険はなぜ強制保険と呼ばれるのか？

自動車(注)は、自賠法(自動車損害賠償保障法)第5条により『自賠責保険(または自賠責共済)に加入していないと運転してはいけない』と定められています。
自賠責保険に加入せず運転すると、「50万円以下の罰金または1年以下の懲役」さらに「違反点数6点で免許停止処分」となります。
(注)原動機付自転車を含み、農耕作業用小型特殊自動車を除きます。

自賠責保険をかけてないと公道を走れないが故に強制保険です。

工場などの私有地内だけを走るフォークリフト等の構内専用車については、自賠責保険への加入義務はないのですが加入することをお勧めします。その辺りについては、また別の機会に記述します。

自動車保険(任意保険)とは？

自動車保険の概要

「自動車保険(任意保険)」は、自賠責保険ではカバーしきれない自動車事故の様々なリスクに備える為の保険です。

自動車保険は、大きく3つの補償から構成されます。
１. 事故相手に対する賠償への備え
　「賠償責任保険」

自賠責保険で補償されるのに相手のケガの補償がいるのか？

今見てきたように自動車保険では自動車事故に起因する様々なリスクに備えることができます。

さて、ここで気付くことがあると思います。
相手のケガや死亡については自賠責保険と自動車保険と双方で補償されています。
「自賠責保険で補償されるのに自動車保険でも補償する必要があるのか？」そう思う方もいいらっしゃると思います。

これはなぜか。
結論から言うと、自賠責保険だけでは相手のケガや死亡についての補償が不十分だからです。

たしかに、自賠責保険で相手のケガや死亡について補償されます。

しかし、その補償内容というのは下表のとおり充分な金額とは言えません。

ケガ（治療費・休業補償・慰謝料など）	120万円限度
死亡（逸失利益・慰謝料・葬儀費用など）	3,000万円限度
後遺障害（逸失利益・治療費など）	4,000万円限度

交通事故により大ケガを負った場合、治療費や休業損害はゆうに120万円を超えてきます。
誰かをケガさせてしまった、死傷させてしまった、後遺障害を負わせてしまった。そのような時に損害賠償額が120万円、3,000万円、4,000万円といった限度額を越してしまえばその分を負担しなければなりません。
近年、交通事故による損害額が高額化している傾向もあり裁判では5億円を超える判決が出たりしています。

このようにして自賠責保険では補償が充分と言えないことから自動車保険においても相手のケガや死亡に対する補償が必要なのです。

まとめ

車やバイクに乗る以上、どんなに注意して運転していても事故を起こす可能性があります。また自賠責保険だけでは、自動車事故の様々なリスクには対応できません。
事故相手や自分、同乗者、家族を守るためにも自動車保険にも加入するべきです。

自動車保険は‟任意保険”とされていますが、個人的には‟強制保険”だと思います。
皆様も一度、自分の車にはきちんと自動車保険が付帯されているか確認してみてください。

以上、お読みいただきありがとうございました！