周辺知識

地震保険料控除について詳しくなろう!

※ 2023年度時点の年末調整・確定申告での話です。

『地震保険料控除っていくら戻ってくるの?』

『上限額ってあるの?』

毎年なんとなく年末調整・確定申告している地震保険料控除

今回は、そんな地震保険料控除についてどこよりもわかりやすく解説します。

地震保険料控除とは

契約者本人や生計を共にする配偶者や親族が所有し、常時居住・使用している家屋や生活用動産を目的とする損害保険契約で、その契約の地震保険部分の保険料や掛金、または平成18年(2006年)12月31日までに締結した旧長期損害保険契約の保険料は、その年の所得から控除することができます。

これを‟地震保険料控除”と言います。

Q.「別荘」や「空家」に付帯している地震保険は控除の対象になるの?

A. 地震保険料控除の対象外です
「別荘」や「空家」は常時居住・使用している家屋とは言えませんので対象外となります。

対象契約について

地震保険料控除の対象契約は、
地震保険
旧長期損害保険契約
の2つがあります。

地震保険についてはまた別の機会に詳しく説明します。
では、旧長期損害保険契約とはなにか。

旧長期損害保険契約とは

平成18年(2006年)までは、「損害保険料控除」という、火災保険等の契約により保険料を支払う場合、その保険料に応じて一定額を、契約者の課税所得から引ける所得控除が存在しました。

しかし、平成18年(2006年)の税制改正により、平成19年(2007年)以降は「損害保険料控除」が受けることができなくなり、代わりに同年平成19年(2007年)より新たに「地震保険料控除」が設けられました。

ですが、それでは税制改正によって今まで「損害保険料控除」を受けられていたのに、いきなり控除を受けられなくなる人も出てくるため、それは酷だよね。
ってことで、一定の条件をクリアする契約に関しては‟旧長期損害保険契約”として保険料控除が受けられるようになっています。

一定の条件をクリアする契約とは以下すべての条件を満たす契約です。

  1. 平成18年(2006年)12月31日までに締結した契約
  2. 満期返戻金等がある契約
  3. 保険期間が10年以上の契約
  4. 平成19年(2007年)1月1日以降に保険料の変更をともなう契約内容変更を行っていない契約

控除額について

地震保険料控除の所得税・住民税の控除額(上限額)は以下の通りです。

所得税

保険の種類 年間正味払込保険料 控除される金額
①地震保険契約 50,000円以下のとき 正味払込保険料全額
50,000円を超えるとき 一律50,000円
②旧長期損害保険契約 10,000円以下のとき 正味払込保険料全額
10,000円を超え
20,000円以下のとき
(正味払込保険料×1/2)
+5,000円
20,000円を超えるとき 一律15,000円
①と②と両方ある場合 ①の控除額と②の控除額の合計額(最高50,000円限度)

住民税

保険の種類 年間正味払込保険料 控除される金額
①地震保険契約 50,000円以下のとき 正味払込保険料×1/2
50,000円を超えるとき 一律25,000円
②旧長期損害保険契約 5,000円以下のとき 正味払込保険料全額
5,000円を超え
15,000円以下のとき
(正味払込保険料×1/2)
+2,500円
15,000円を超えるとき 一律10,000円
①と②と両方ある場合 ①の控除額と②の控除額の合計額(最高25,000円限度)

地震保険料控除でいくら戻るのか

地震保険料控除の控除額についてはご理解いただけたと思います。

では、実際に地震保険料控除によっていくらぐらい税金が変わってくるのか気になりますよね。
今回は、実際にありそうな以下2つのケースで税金がいくら変わるのかシミュレーションしてみます。

なお、課税所得所得税住民税の算出方法は以下の通りです。

課税所得=収入ー経費ー所得控除

所得税課税所得×税率ー税額控除

住民税課税所得×10%-税額控除

※ 住民税は住む地域により、税率が異なりますが一般的には10%の自治体がほとんどなため、税率10%で計算します。

所得税の税率については、課税所得より異なります。
また、所得税の税率と税率控除は以下の速算表の使用します。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円から
1,949,000円まで
5% 0円
1,950,000円から
3,299,000円まで
10% 97,500円
3,300,000円から
6,949,000円まで
20% 427,500円
6,950,000円から
8,999,000円まで
23% 636,000円
9,000,000円から
17,999,000円まで
33% 1,536,000円
18,000,000円から
39,999,000円まで
40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

出典:国税庁ホームページ「所得税の税率」

ケース1

  • 独身会社員
  • 賃貸住まい
  • 課税所得:350万円
  • 地震保険の保険期間:1年
  • 保険料払込方法:一括払
  • 地震保険料:3,000円

所得税

地震保険料控除を受けた場合

(課税所得ー控除額)×20%-427,500円=税額

所得税の場合、地震保険料が50,000円以下であれば地震保険料全額が控除対象なので、

(350万円ー3,000円)×20%-427,500円=271,900円

よって所得税額は271,900円となります。

 

地震保険料控除がない場合

課税所得×20%-427,500円=税額

なので、

350万円×20%-427,500円=272,500円

よって所得税額は272,500円となります。

 

つまり、地震保険に加入することで所得税は600円(272,500円ー271,900円)ほど安くなります。

住民税

地震保険料控除を受けた場合

(課税所得-所得控除)×10%=税額

ですが、住民税の場合、地震保険料が50,000円以下であっても1/2つまり半分だけが所得控除額となるので、

(350万円ー(3,000円×1/2))×10%
=(350万円ー1,500円)×10%=349,850円

よって住民税額は349,850円となります。

 

地震保険料控除がない場合

課税所得×10%=税額

なので、

350万円×10%=35万円

よって住民税額は350,000円となります。

 

つまり、地震保険に加入することで住民税は150円(350,000円ー349,850円)ほど安くなります。

 

つまりパターン1の人の場合、所得税600円・住民税150円の合計750円税金が安くなるということです。

ケース2

  • 既婚会社員
  • 持ち家住まい
  • 課税所得:600万円
  • 地震保険の保険期間:5年
  • 保険料払込方法:一括払
  • 地震保険料:150,000円

ケース1と違い、ケース2では気を付けるべきポイントが1点あります。

それは、「保険期間が5年で、保険料は一括払になっている」という点です。

地震保険料控除の対象となる控除金額は、‟年額”保険料が対象となります。

今回の場合、150,000円(保険料)÷5年(保険期間)=30,000円

30,000円が地震保険料控除の対象となります。

地震保険料を一括で払った場合でも、毎年保険会社から送られてくる控除証明書にはその年に対象となる控除額のみ記載されていますので心配はいりません。

所得税

地震保険料控除を受けた場合

(課税所得ー控除額)×20%-427,500円=税額

所得税の場合、地震保険料が50,000円以下であれば地震保険料全額が控除対象なので、

(600万円ー30,000円)×20%-427,500円=766,500円

よって所得税額は766,500円となります。

 

地震保険料控除がない場合

課税所得×20%-427,500円=税額

なので、

600万円×20%-427,500円=772,500円

よって所得税額は772,500円となります。

 

つまり、地震保険に加入することで所得税は6,000円(772,500円ー766,500円)ほど安くなります。

住民税

地震保険料控除を受けた場合

(課税所得-所得控除)×10%=税額

ですが、住民税の場合、地震保険料が50,000円以下であっても1/2つまり半分だけが所得控除額となるので、

(600万円ー(30,000円×1/2))×10%
=(600万円ー15,000円)×10%=598,500円

よって住民税額は598,500円となります。

 

地震保険料控除がない場合

課税所得×10%=税額

なので、

600万円×10%=60万円

よって住民税額は600,000円となります。

 

つまり、地震保険に加入することで住民税は1,500円(600,000円ー598,500円)ほど安くなります。

 

つまりパターン2の人の場合、所得税6,000円・住民税1,500円の合計7,500円税金が安くなるということです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

今回は、地震保険料控除とはなにか、上限額はいくらか、実際にいくら戻ってくるのか例を挙げてみてきました。

税金の仕組み上、年収が高い人ほど所得控除の恩恵が大きい仕組みになっています。

考え方にもよりますが、ケース1の人の場合でも地震保険料3000円に対して、約750円の節税効果を得ることができ、地震により被害を受けた場合にも備えられると考えれば地震保険は十分加入する価値があると思います。

皆さんの場合はいくら戻ってくるか、一度計算してみてはいかがでしょうか。

今回の記事が少しでも皆さんのお役に立てば幸いです。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました!

【ゼクシィ保険ショップ】結婚から始まる新たなライフスタイル