損害保険

自動車事故の過失割合はどう決まるのか

こんにちは、サウスポーです。

皆さんは、自動車事故の際に保険会社から「過去の判例で〜」などと言われたことはありませんか?

この記事は、過去に事故を起こしたことがある、または現在事故の示談の最中で「事故の時の過失割合ってどうやって決めているんだろう?」こんな疑問を抱いている方向けに書いています。

そこで今回は、保険会社の事故が起きた際の過失割合の決め方について、保険販売歴4年の営業マンが解説いたします。

過失割合の決め方について説明する前に、皆さんがなんとなくはわかってる“過失割合”について確認しておきます。

過失割合とは?

自動車事故が起こった場合、当事者間の公平を保つために、それぞれのドライバーには一定の割合で過失があるとされおり、その割合のことを言います。
保険会社はその過失割合に応じて保険金を支払います。

それでは、本題へいきましょう。

結論

・過失割合は警察ではなく事故の当事者またはその代理人(保険会社や弁護士)が決定する

・過失割合の決定方法の流れとしては、先ず判例タイムズを参考にし、事故の状況から基本過失割合を判断する

・基本過失割合を判断した後に、修正要素がないか確認し、修正要素があればそこを踏まえて過失交渉を行なっていく

・当事者双方が過失割合と示談金に納得すれば事故解決となる

警察の見解は関係ない

よく勘違いしている人がいるのですが、過失割合は警察が判断するものではありません。

確かに、交通事故を起こした場合は警察に電話をかけ警察官が現場に駆けつけて当事者から状況を確認作業を行いますが、警察はあくまでも事故の事実確認と記録を行うだけです。

「警察の方があちらが悪いと言っていた」などと事故の当事者からお伺いすることもありますが、警察には民事不介入の原則があるので、事故の過失割合の決定にはいっさい関係ありません。

判例タイムズとは

判例タイムズとは、株式会社判例タイムズが販売している“判例タイムズ 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 別冊”のこと(以降、判例タイムズ)でこれまで蓄積したきた膨大な過去の自動車事故のおける民事訴訟の判決例をもとに東京地裁民事交通事故訴訟研究会が編集しており、基本の過失割合として認められている参考本です

この判例タイムズは、保険会社だけでなく弁護士・検察官・裁判官などの法律のプロも愛用しています。

この判例タイムズが、最後に改訂し発売されたのが2014年7月であり、その2014年7月の発売も10年ぶりの改訂でした。
その為、一度購入しておくとかなり長期間に渡り使用することができると予想されます。

自分が事故にあった際の保険会社との交渉に役立つことはもちろんのこと、ただの読み物としてもタメになる本だと思いますので、ぜひ一度購入を検討してみてください。

※ 購入前に一度試し読みをしてみたい方は判例タイムズ社のホームページから試し読みできます。

過失割合と修正要素とは?

判例タイムズには、事故の形態ごとに過失割合(過失相殺率)修正要素が記載されています。

過失割合(過失相殺率)とは、交通事故において当事者双方それぞれにどのくらいの責任があるのかを数値で表したものです。
例えば、下図のように信号機のない交差点での基本過失割合は、白い車(A)60赤い車(B)40といったようなものです。
白い車(A)の方が過失が大きいのは、道路交通法では信号のない交差点においては左方からくる車両の進行を妨げてはならないと定められているためです。(左方優先)

修正要素とは、基本過失割合が決まったのちにその事故において責任割合を修正する必要のある要素・事情のことを言います。
例えば、先程の「信号機のない交差点での四輪車同士の事故」においては以下のようなものが挙げられます。
・優先道路かどうか
・一時停止標識の有無
・一方通行規制の有無
・Aの著しい過失
・Aの重過失
・Bの著しい過失
・Bの重過失   等

著しい過失とは?

著しい過失とは、通常想定されている程度を超えるような過失のことです。
車における著しい過失の例としては、
『脇見運転』
『携帯電話のながら見運転』
『時速15km~30km程度の速度違反』
『酒気帯び運転』など

著しい過失の場合、10%程度の過失が加算されます。

重過失とは?

重過失とは、著しい過失よりも更に重大な過失のことであり、故意と同等にみなされます。
車における重過失の例としては、
『居眠り運転』
『無免許運転』
『時速30km以上の速度違反』
『酒酔い運転』
『薬物などにより正常な判断ができない状態での運転』など

重過失の場合、20%程度の過失が加算されます。

過失割合に納得いかない場合はどうするべき?

大前提として示談しないこと

一度合意し示談した場合は、基本的に後から示談を取り消すはできません。

その為、示談は必ず自分が納得できるまで行なってはいけません。

また対物賠償の場合、示談は必ずしもお互いに署名・捺印をし示談書を交わすわけではなく、最近は電話による示談とし示談書省略となるケースの方がほとんどです。

大きく4つの選択肢

過失割合に納得いかない場合は大きく4つの選択肢があります。

示談交渉

自分で、もしくは保険会社や弁護士を通じて示談交渉を続ける方法です。

示談交渉は費用がかからない点がメリットですが、自分が納得できるように交渉するには相手を納得させるだけの証拠や交渉術が必要になってきます。

示談交渉のポイントとしては、具体的にどの点がこういう理由で納得いかないと伝えることです。

ADR(裁判外紛争解決)

民間の第三者機関の専門家が間に入ってくれて話し合いでの解決を目指す方法です。
(交通事故の場合は、日弁連事故相談センターや交通事故紛争処理センターが有名)

基本的に無料で利用できますが、あくまでも中立機関なので必ずしも自分の納得いく結果になるとは限りませんし、最終的な解決は双方の合意がいるので過失割合の主張が大きく食い違うときはADRを利用しても解決困難だと思います。

調停

裁判所が間に入り話し合いにより解決を目指す方法です。

利用するには費用がかかりますが、裁判を行うよりは比較的安くで行うことができ、また裁判より短期で解決することが可能です。
また、ADRと同様に解決には双方の合意が必要なため必ずしも解決するとは限りませんが、ADRと違い調停が成立すればそれは裁判の結果と同様の効力として認められています。

裁判

法廷で双方がお互いの主張を述べたり証拠を提出したりし、最終的に裁判官に過失割合を決めてもらう方法です。

裁判官に過失割合を決めてもらうため、双方の合意なしに過失割合が決定できますが、これもやはり必ずしも自分が納得いくように解決するとは限りません。
また、裁判にはそれなりの費用もかかりますし解決まで時間もかかります。

終わりに

いかがでしたでしょうか。

今回は、交通事故の過失割合の決め方・進め方について見てきました。


『「保険会社の言う過去の判例で〜」ってこういうことだったのか』
『飲酒運転したら100%というわけじゃないんだ』
などと様々な意見があると思います。

今回お話ししたのは基本的な過失割合の決め方についてなので必ずしもこの通りに決まるわけではありません。

判例タイムズはあくまでも過去の裁判での判決などをもとに作成されたものであり、実際に裁判となり違う結果になる場合もあります。
また、過失割合は必ずしも当事者双方合計で10割になるわけではなく、90:0などで示談となるケースもあります。

ですが、基本的な過失割合の決め方を知っているかどうかで今後自動車事故に巻き込まれた際に大きく違いますので、この記事が皆様の参考になればと思います。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました!

【ゼクシィ保険ショップ】結婚から始まる新たなライフスタイル